本の知識


本のサイズ

本には様々なサイズ(判型)があり、本の内容によって相応しいサイズが変わってきます。大きいサイズでは写真や図柄を中心とした本が多くなり、小さいサイズでは文庫など文字を中心とした本が多く見られます。本を制作する場合、まずサイズを決め、1ページにどの位の情報量や文字数が収まるのかを検討してみて下さい。

以下のサイズをご参照下さい。

  • A4判(210×297)写真集、美術書など
  • AB判(210×257)大きめの雑誌など
  • B5判(182×257)週刊誌、一般雑誌、ムック本など
  • A5判(148×210)学術書、文芸誌、教科書など
  • 四六判(128×188)単行本など
  • B6判(128×182)単行本など
  • 新書判(103×182)新書本、漫画の単行本など
  • A6判(105×148)文庫本など
書籍の判型

製本の種類と綴じ方

製本とは、複数の印刷物を一つに綴じて本や冊子にまとめることです。製本方法には「並製本」「上製本」などいくつかの種類があり、綴じ方の違いによって仕上がりが変わってきます。

製本の種類


並製本(ソフトカバー)

表紙に芯が入らない為、上製本のような堅い表紙では無く耐久性はあまりありません。一方で、上製本より短納期・低価格というメリットがあります。

綴じ方無線綴じ、中綴じ、平綴じ など
適した本パンフレット、カタログ、雑誌 など

上製本(ハードカバー)

厚く堅い表紙で、背をしっかりと糸で綴じた本文を包んで製本する方法です。並製本より丈夫で長期保存に適しています。一方で、並製本より行程や材料が多くなる為に費用も高くなります。

上製本には、本の背表紙に丸みがある「丸背」と角ばった「角背」があります。

綴じ方かがり綴じ、あじろ綴じ、ミシン綴じ など
適した本記念誌、辞書、写真集、絵本 など

その他の製本方法

・リング製本

簡易的な製本方法の一つで、リングで印刷物のページを綴じる方法です。カレンダーやメモ帳などでよく使用されます。

・テープ製本

印刷物の背を薄いテープで綴じる方法です。契約書などのビジネス文書や教科書、ノート等によく使用されます。

綴じ方の種類


中綴じ

二つ折りにした紙の真ん中・折り目部分をホッチキスや針金で綴じる製本方法です。本のノドまで見開きになるので、写真や図柄を見開きで配置する本に適しています。

用途例週刊誌、小冊子 など
中綴じ

無線綴じ

針金や糸を使わず、本の背を接着剤で固めて綴じる製本方法です。丈夫で長持ちし、ページ数が多い本に適しています。

用途例雑誌、文庫本、カタログ など
無線綴じ

平綴じ

表紙と中身を重ね、背表紙の端を針金で数カ所留める製本方法です。構造上、ノド一杯まで本を開くことは出来ません。作りは頑丈ですが、分厚くなると針金で留められない為、ページ数が多い本には不向きです。

用途例教科書、週刊誌、取扱説明書 など
平綴じ

かがり綴じ(糸綴じ)

背表紙を一折りずつ糸でかがって綴じ、接着剤で接合させる製本方法です。丈夫で耐久性に優れ、長期保存に適しています。また本のノドいっぱいまで開くことが出来ます。

用途例辞書、百科事典、一般書籍 など
かがり綴じ

ミシン綴じ(中ミシン綴じ)

本文を重ね、見開きの中央をミシン糸で綴じる製本方法です。耐久性に優れ、本のノドいっぱいまで開くことが出来ます。紙を重ねて縫う為、ページ数が少ない本に適しています。

用途例ノート、絵本 など
ミシン綴じ

あじろ綴じ

無線綴じと同様に本の背を接着剤で固めて綴じる製本方法です。折丁の背の部分に細かい切り込みを入れ、そこから接着剤を入れて接合します。無線綴じよりも丈夫で耐久性に優れています。本のノドいっぱいまで開くことが出来ます。

用途例文庫本、月刊誌、カタログ など
あじろ綴じ

用紙の厚さ

紙の厚さをを調べる時、「連量」「坪量」と書かれているのをよく目にするかと思います。以下にこの紙の厚みに関する用語を解説していきます。

連量とは

一定のサイズの原紙1,000枚のことを一連と呼び、この一連の用紙を積んだ時の重量のことを「連量」と呼びます。

用紙名などに記載されている70kgや90kgといった表記は、この一連の用紙の重さを表しています。同じ用紙であれば、連量の数字が大きく・重くなるほど、紙が厚くなっていきます。

印刷業界では俗称として「斤量」と呼ばれることもありますが、連量と意味は同じになります。

「原紙」とは、仕上がり寸法へ裁断前のサイズの用紙のことです。(主に四六判や菊版等)

坪量とは

用紙重量の表し方で、面積1㎡あたりの用紙の重さのことを「坪量」と呼びます。1m×1mに切った紙の重さを量った時のグラム数となり、単位はg/㎡(グラム平方)で表示されます。米坪(べいつぼ)、メートル坪量と呼ぶこともあります。

連量同様、数字が大きく・重くなるほど、紙が厚くなっていきます。

紙の厚さによる用途例


用途によって選ぶ紙の厚さも変わってきます。以下の目安表を用紙を選ぶ際の参考にお使い下さい。

用紙の種類や原紙のサイズによって厚さが変わる為、あくまで目安としてお使い下さい。

左から厚さ(mm)、四六判連量(kg)、坪量(g/㎡)、用途です。

 0.08mm55kg64g/㎡ノート・コピー用紙・厚い冊子の本文用紙
 0.09mm70kg81.4g/㎡チラシ・冊子の本文用紙
 0.1mm90kg104.7g/㎡ポスター・カタログの本文用紙
 0.15mm110kg127.9g/㎡チケット・パンフレット・雑誌の表紙
 0.17mm135kg157g/㎡カタログ・パンフレット・冊子の表紙
 0.2mm180kg209.4g/㎡郵便はがき・名刺
 0.24mm220kg256g/㎡厚めのポストカード

用紙の種類

紙には様々な種類がありますが、ここでは主に書籍に用いられる用紙をご紹介します。

塗工紙と非塗工紙


印刷用紙は主に「塗工紙」と「非塗工紙」に分類されます。

塗工紙とは

塗工紙は紙の表面に白色塗料を塗布したものです。塗料の量によって種類が異なり、アート紙やコート紙、その他にも微塗工紙やキャスト紙などがあります。

さらに、表面の光沢が強いものをグロス系と呼び、光沢を抑えたものをマット系、ダル系と呼びます。

非塗工紙と比べて発色が良く、写真等の再現性に優れています。

用紙例コート紙、マットコート紙 など

非塗工紙とは

非塗工紙は表面に何も塗っていない、そのままの状態の紙のことです。

塗工紙に比べ落ち着いた色合いになり写真等の再現性は低くなりますが、光沢感を抑えた分文字が読みやすく、また筆記性に優れています。

用紙例上質紙、色上質紙 など

主な用紙の種類


– 表紙用の主な用紙

上質紙コピー用紙やノートにもよく使われている白い紙です。表面加工をしていない為さらさらとした手触りがあり、白色度が高いので文字等の印刷に適しています。また、筆記性にも優れています。
コート紙コピー用紙やノートにもよく使われている白い紙です。表面加工をしていない為さらさらとした手触りがあり、白色度が高いので文字等の印刷に適しています。また、筆記性にも優れています。
マットコート紙       コート紙と同じく表面をコーティングしていますが、光沢を抑えて落ち着いた仕上がりとなります。滑らかな手触りで、コート紙と同じく発色が良くカラーの印刷物に適しています。
色上質紙特厚口色を付けた上質紙です。表面加工をしていない為さらさらとした手触りがあります。カラーバリエーションが豊富で、比較的安価なのでコストを抑えやすいです。
アートポストコート紙と同様に表面がコーティングされ、ツルツルとした光沢感があります。発色が良くカラーの印刷物に適しています。コート紙よりかなり厚みのある紙になります。
レザックその名の通りレザーのような質感を持つエンボスペーパーです。高級感や上品さがあるデザインに適しています。写真やイラストの再現性は低い為、文字や飾りをシンプルに配置したデザインにおすすめです。
マーメイド細かいソフトな凹凸のあるファンシーペーパーです。柔らかい質感と手触りで、上品さがあるデザインに適しています。

– 本文用の主な用紙

上質紙

コート紙

マットコート紙

書籍用紙   書籍の本文に使用されることが多い紙で、紙質は上質紙に似てさらさらしています。紙の色は淡いクリーム色で、これは小説などを長時間読む際に目を疲れにくくする為です。

表紙の表面加工

表面加工とは、印刷物の表面に加工・コーティングする工程のことです。主に光沢感・高級感を出す、耐久性を上げてより長期保存を可能にするなどの目的で行われます。

書籍に良く使用される加工方法にPP加工などがあります。

PP加工について


PP加工とは、印刷用紙の表面に接着剤を塗布し、透明のPPフィルムを圧着してコーティングするラミネート加工の一種です。本や冊子の表紙やカバー、パッケージなどによく使用されます。

PP加工を施すことで高級感が増し見栄えが良くなります。また、表紙面が保護され耐久性が増し、より長期保存が可能となります。

PP加工の種類


PP加工には主に「グロスPP」「マットPP」があり、それぞれの適正に合わせて使用されています。

グロスPP

表面に艶のあるフィルムの為、用紙の表面に光沢感が得られ、高級感のある仕上がりになります。

フィルムを貼ることで発色が鮮やかになる為、彩度の高いモチーフや写真・イラストを使用している表紙に適しています。

マットPP

表面の光沢を抑えたフィルムを使用します。手触りが良く、サラサラしたマットな質感で指紋が付きにくく、光の反射が抑えられシックで上品な落ち着いた仕上がりになります。

グロスPPとは違い、フィルムを貼ることで彩度がやや低く見えます。

PP加工の注意点


  • フィルムを熱で圧着する為、薄い紙や石油合成紙に使用すると紙が反ったりシワが出る場合があります。
  • 防水性、耐水性は無い為、水がかかった場合に裏面やPPフィルムと用紙のすき間から水が浸透する場合があります。
  • PP加工を行うと印刷物の彩度や濃度が変わって見える為、仕上がりのイメージが異なる場合があります。事前にサンプル確認や試し刷りを行い、色の見え方の違いを確認しておくのがおすすめです。

その他の特殊加工について


ニス加工印刷物の表面にニスを塗布することで、色落ちを防ぎ表面を保護します。PP加工と比べて変色しにくく指紋の跡が目立ちませんが、PP加工程のコーティング力はありません。PP加工同様「グロス」と「マット」があります。
また、ニスは部分的な加工が可能な為、印刷物上にニスで絵柄を表現出来るという魅力があります。
プレスコート加工印刷面に特殊な樹脂を塗布し、熱をプレスして加えることで表面に光沢感を出す加工です。PP加工同様の光沢感が出ます。また、ニス同様部分的な加工が可能です。
LCコート       印刷面にUVニスを塗布したのち全面にフィルムを圧着し、UVランプを照射し硬化させてからフィルムを剥がすことで転写して加工する方法です。フィルムの種類によって表面の仕上がりが異なります。
箔押し金属型で金・銀・ホログラムなどの箔を熱圧着して用紙に貼り付ける加工です。インキでは表現できない光沢感やテクスチャーを表現でき、高級感のある雰囲気を演出します。
エンボス加工凹版と凸版の樹脂版や金属板等の間に紙を置き、印刷面にプレスすることで絵柄や文字を浮き上がらせる加工方法です。印刷物に立体感を出し、一際目を引く仕上がりとなります。
ホログラムPP光の角度によってキラキラと光るホログラムのフィルムを使用したPP加工です。書籍のカバーなどに使用すると表面の保護にもなり、また、高級感のある雰囲気を演出します。

用紙専門店のご紹介

「主な用紙の種類」でご紹介した用紙以外にも、本の表紙などに使える様々なおしゃれで素敵な用紙があります。以下に用紙専門店をいくつかご紹介しますので、紙の本を制作する際にはぜひ一度覗いてみて下さい。

製紙メーカー


以下のサイトでは各メーカーの様々な種類の用紙を検索・閲覧することが可能です。

用紙通販サイト


以下のサイトでは気になった紙の購入が可能です。